SIer(エスアイアー)とはシステムを開発する会社のことでして、大手企業で言うと野村総合研究所やNTTデータが該当します。
SIerのビジネスの屋台骨はクライアント企業からの受託開発です。
受託開発とは何かと言いますと、クライアントが指定する仕様どおりにシステムを開発して納品することですね。
正直、SIerはクライアント企業の御用聞きみたいな色合いが濃いため、「やりがいあって楽しい」という人と「は?これのなにが面白いの?」みたいな人に大きく分かれます。
Webを見ていると、「SIerの仕事はつまらん」「SIerの仕事にやりがいはない」「今すぐWeb系企業に転職すべき」みたいな記事が多いため、本記事では某大手SIerに12年勤務している僕が、SIerにやりがいを見いだせる人はこんな人だよ、というのを解説したいと思います。
「SIerに就職しようと思っているけど、自分に向いているかどうかわからん」という学生の方や、「SIerに就職してみたけど、この仕事、向いてるのかなぁ」と不安な若手社会人の方の参考になれば幸いです。
目次
SIerの仕事にやりがいを見いだせるのはこんな人です
転職してしまった元同僚や、今でもバリバリSIerで仕事をしている同僚の話を聞いたり、職場のいろんな人の言動を見ている限り、SIerでやりがいを見いだせる人の特徴は概ね以下のとおりではないかと思っています。
- その1:大きな仕事に携わりたい人
- その2:おせっかいな人
- その3:チームでわいわいしながら仕事をしたい人
- その4:技術にさほど強い思い入れがない人
- その5:お祭り騒ぎが好きな人
それでは順番に解説していきます。
その1:大きな仕事に携わりたい人
SIer、特に大手SIerに就職すると、かなり大規模なシステムに携わることができます。
たとえば、官公庁向けのシステムであったり、金融系や交通系などの社会インフラのシステムなどですね。
大規模なシステムは往々にして「止まったらめちゃくちゃ困る」という性質を抱えているわけでして、トラブルなくシステムが稼働している様子を見て、「社会に貢献しているなぁ」とか「みんなの役に立っているなぁ」というポジティブな気持ちがわいてくる人は、SIerに向いています。
システム規模が大きくなれば大きくなるほど、それだけユーザ数が多いということも言えるわけで、実際に多くの人の役に立っているわけですよね。
また、大規模なシステムというのは「業界外の他人に説明しやすい」というメリットもあります。
たとえば親や友達なんかに「最近はどんな仕事やってんの?」みたいな質問をされたときに「○○ってあるやろ?あのシステムを作ったよ」と一発で説明できるので、めちゃくちゃ楽です。
さらに、大抵は「へー、それはすごいねー」と感心されるので、親を安心させられるという副次効果もあります。
その2:おせっかいな人
冒頭に書いたとおり、SIerのビジネスの根幹はクライアント企業からの受託開発なのですが、それはつまり、「クライアント企業から仕事がもらえないと食いっぱぐれる」ということを意味しています。
クライアント企業から継続的に仕事をもらうために、SIer(特に営業部隊)は
- クライアント企業のところに足繁く通い、良好な関係性を維持する
- 事あるごとに「何かお困りのことはございませんか?」と御用聞きをする
ということを地道に行っています。
この活動を行うには、少なからず「クライアント企業が困っていたら助けてあげたい」みたいなマインドがないと難しいです。
まぁ、売上のために割り切ってやるという考え方もありますが、おそらく長くは続かないんじゃないかなと思います。
「誰かのために仕事をするのって楽しそう」とか「人の話を聞いてあげるのが好き」みたいな人はSIerに向いているかもです。
その3:チームでわいわいしながら仕事をしたい人
SIerでは、比較的大きな規模のシステム開発を扱うということもあり、数人~数十人のエンジニアを集めてプロジェクトを作ります。
よって、必然的に同じプロジェクトのメンバーと密にコミュニケーションを取りながら仕事を進める必要があります。
「あの設計、どうしようか」とか「この設計に漏れがないかチェックしてくれない?」みたいなことが毎日発生するので、たいてい何かしらの打ち合わせが発生します。
特に、プロジェクトの立ち上がり当初は、プロジェクトメンバーで集まって、ああでもない、こうでもないと議論しながらプロジェクトを進める必要があるため、「みんなでわいわい仕事をする」という性質が強まります。
「みんなでわいわいとか超楽しそう!!」みたいな人はSIerに向いています。
逆に「できれば一人で黙々と仕事をしたいんだけどな…」みたいな人は、あんまり向いていないかもしれません。
その4:技術にさほど強い思い入れがない人
上述のとおり、大規模なシステムは往々にして「止まったら困る」という性質をもっているわけですが、それゆえ、品質についてはめちゃくちゃシビアに考えます。
たとえば、システムがトラブルを起こした際、「採用した製品のしょうもないバグが原因でした」となると、クライアントから「なんでそんな製品を採用したんだ!!」と怒られるわけです。
ましてや「いやー、その製品、発売されたばっかりなので、結構いろんなところでバグが出てるみたいなんすよね」なんてことになると「なんでそんな新しい製品を採用したんだ!!」ってなるんです。
正直、発注元にも責任があるのですが、SIerはこういった理不尽なことを言われないために、バグがないであろう、古い製品や技術を採用することが多いです。いわゆる「枯れた製品」「枯れた技術」ですね。
もちろん、小規模~中規模のシステムや、クライアント企業から「新しい技術使いたい」みたいな要望があった場合は、この限りではありませんが、基本的にはバグのリスクが少ないものを採用する傾向にあります。
「まぁそれがクライアントのためならええんちゃう?」とか「そんなに新規技術に興味ないです」みたいな人はSIerで違和感なく働けると思います。
その5:お祭り騒ぎが好きな人
これはSIerに限らず、Web系企業でも言えることなのですが、クライアント企業からの受託開発の場合、致命的な開発遅れやシステムトラブルなんかが発生すると、「なんで遅れてるんだ!!スケジュールどおりに絶対納品しろ!!」とか「今すぐシステムを復旧しろ!!」みたいな圧力がかかるわけです。
特にクライアント企業がお得意様の場合、これが原因で他のSIerに乗り換えられたりすると大問題になるので、SIerのエンジニアたちも死ぬほど頑張ってリカバリーするわけですが、その光景はもはやお祭りなんです。
他のプロジェクトから助っ人のエンジニアが来て居室が人で溢れかえったり、居室の至る所で四六時中打ち合わせをしていたり。それはそれは賑やかです。
「ワッショイワッショイ、みんなで何とかするぞー!オー!!」みたいな感じです。
「みんなで一致団結して一つの目標に向かって突き進むとか素敵やん」「お祭り大好き」みたいな人はSIerに向いているかもしれません。
やりがいを見いだせなさそうなら、今すぐ転職するべきです
ここまで読んで「まぁSIerも楽しそうやね」という方はSIerに入社しても幸せに生きていけると思います。
「ぐはっ…これは無理そう…!」という就職前の学生の方は、SIerへの就職は避けた方が無難です。
「しまった、もうSIerに就職しちゃったよ…!」という方は今すぐ転職することをおすすめします。
20代のうちはポテンシャルを買われることも多いので、未経験でもいろんな業界に転職することが可能です。
逆に「今の仕事が落ち着いてから転職しよう」とか「今の職場はいい人が多いのでもうちょっとSIerで働いてみよう」なんて思っていると、いつの間にか転職の機会を逃してしまうかもしれません。
「そんなこと言われても、いますぐ転職するとか怖くてできない」という方は、とりあえず転職サイトや転職エージェントに登録して、求人だけでもチェックしておくことをおすすめします。
求人を見ていると「お、これは面白そうな仕事だな」とか「あの会社、結構IT人材を募集してるな」などの気づきを得ることができますし、いいと思った求人があれば試しに応募してみるということもできますしね。
以下の3つの転職エージェントは実際に僕が使っていた転職エージェントで、登録料が無料、かつ、優良な求人が揃っていました。
試しに登録しつつ、求人をチェックするのがいいかなと思います。思いがけずいい求人を見つけることができるかもしれませんよ。
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最後に
ここまで書いておいて何なのですが、SIer、特に大手SIerは比較的給料が高いので、上記に該当しない人でも「お金のため」と割り切って働いている人もかなりいます。
この辺は仕事に対する個人的な価値観の問題なので、あまり他人を気にする必要はなく、あくまで自分の考えや気持ちに沿って行動するのがいいかなと思います。
以上、ご参考まで。