【就活生向け】SIerとは?現役社員がわかりやすく解説します

SIer。エスアイアー。正直、就活ではじめて目にする単語だと思うんですよね。

SIerというのは、どうやらシステムを開発する会社らしい

この記事を読んでいる人は、もしかしたらこれぐらいの情報は得ているかもしれません。

でも、「システムを開発する会社です」とか言われても、全然イメージが湧かないと思うんですよね。

「システム開発ってそもそもどういう仕事なの?」

「具体的にどういうタスクがあるの?」

本記事では、某大手SIerに約12年勤務している僕が、就活生向けに「SIerとは?」をかみ砕きまくって解説します。

SIer(エスアイアー)とは何か?

SIerとはシステムインテグレータ(System Integrator)の略で、Wikipediaで調べると以下のようなことが書いてあります。

日本の情報産業におけるシステムインテグレーター(SI)は、システムインテグレーション事業者を指す。情報システムの構築において、IT戦略の立案から設計、開発、運用・保守・管理までを一括請負する情報通信企業である。

出典:システムインテグレーター – Wikipedia

…まぁ、ぶっちゃけ、よくわかんないですよね。

めちゃくちゃざっくり言いますと、SIerは

システムに関することを全部やる会社

です。

例えば、こんな感じで企業からお仕事をもらいます。

お客さん(企業)

お客さん(企業)

ウチの会社の社員を管理するシステムを作ってほしいんやけど…

かしこまりました!全部いい感じにやっときますね!

SIer

SIer

<数ヶ月後…>

お客さん(企業)

お客さん(企業)

ウチの会社の社員を管理するシステムを作ってほしいんやけどこないだ作ってもらった社員管理システム、保守もしてもらいたいんやけど…

かしはい喜んで!全部いい感じにやっときますね!

SIer

SIer

厳密に言うと、システム開発の話を受ける時点で「保守も我々にお任せくださいね!」と営業をかけたりするので、現実とは少し違うのですが、めちゃくちゃ話を単純化するとこんなイメージです。

大手SIerの仕事内容(営業編)

上記の例を見て「なんだ、SIerの仕事はクライアント企業からバンバン降ってくるのか。楽な仕事だな」と思うかもしれませんが、実はそうではありません。

SIerの営業部隊が汗水垂らしてシステム開発の仕事を取ってきます。

本セクションでは、SIerの営業の仕事内容について解説します。

なお、僕は大手SIer企業にしか属したことがないため、あくまで大手SIerのイメージで解説します。まぁ、どこのSIerも似たようなものだとは思いますが…。

まず最初に営業スタイルから説明します。

SIerの営業は以下のうちの2のスタイルです。

  • 営業スタイル1:すでにあるソフトウェアやITサービスを売り込む
  • 営業スタイル2:新規システムの提案を売り込む

1のイメージとしては、MicrosoftやMicrosoftの代理店が「Windows、1万円で買ってください!」と営業したり、Adobeが「Illustrator、2万円で買ってください!」と営業する感じです。

なお、わかりやすくMicrosoftとAdobeを引き合いに出しましたが、この2社はわざわざ自社商品を必死に営業したりしていないと思います…。

一方、2のイメージとしては、「おたくの企業の課題を解決するにはこういうシステムを作ればいいと思います!だから開発費として2億円ください!」みたいな感じです。

SIerの営業担当の仕事としては、大体以下のようなイメージです。

<SIer営業の1日>

  • 10:00~12:00:【外部打ち合わせ】企業Aにヒアリング
  • 12:00~13:00:出先でランチ
  • 13:00~14:00:【外部打ち合わせ】企業Bに見積もり再提示・再説明
  • 15:00~16:00:【外部打ち合わせ】企業Cにシステム開発のトラブルで謝罪
  • 16:00~17:00:【作業】企業Aのヒアリング結果を受けてシステム開発の提案書を執筆
  • 17:00~18:00:【内部打ち合わせ】企業Aへの提案に向けて社内エンジニアと作戦会議

クライアント企業の元に足繁く通い、「何かお困りごとはございませんか?」と御用聞きをしまくり、提案のスキがあったら社内調整しつつ、すかさず提案をする。

「えー、高いよー」とか「あんたの会社、本当にこういうシステム作れるの?今までの類似開発の実績を教えてよ」とか言われるので、再度社内調整したりSEに協力を仰いだりしつつ、再提案する。

受注済みのシステム開発で進捗が遅れまくっていたりしたら、クライアント企業の元に行って「大変申し訳ございません」と頭を下げる。

実は、SIerの営業って非常に泥臭い仕事なんです…!

大手SIerの仕事内容(開発SE編)

さて、次はSIerのエンジニアの仕事についてです。

SIerのエンジニアは、仕事内容で大きく2つに分類されます。

  • その1:システムの「開発」をするシステムエンジニア(以下、開発SE)
  • その2:システムの「保守・運用」をするシステムエンジニア(以下、保守運用SE)

まずは開発SEの仕事から説明します。

開発SEの仕事は、その名前のとおり、システムの開発です。

「システムの開発が仕事です」とか言われてもピンと来ないと思うので、もう少し具体的に説明します。

開発SEの仕事はおおむね以下のとおりです。

  1. 要件定義:クライアント企業にヒアリングしたり、ディスカッションしたりしながら、どういうシステムを作るべきかを具体化する
  2. 設計:要件定義で具体化した要件をどうやってシステム化すればいいかを考えて具体化する
  3. 実装:必要なサーバなどを用意しつつ、プログラミングしてシステムを構築する
  4. テスト:構築したシステムが設計どおりに動くかどうかをチェックする

厳密に言うと、③の実装工程はベンダに外注することが多いので、この工程に関してはプロジェクトマネージメント(ベンダ側の進捗状況の把握など)が主な業務になります。

他にも、クライアント企業への進捗報告タスクなど色々ありますが、ざっくり説明するとこんな感じです。

もう少し開発SEの仕事内容のイメージを深めてもらうために、具体的な1日のタスクを例示します。

<開発SEの1日>

  • 10:00~12:00:【外部打ち合わせ】製造工程を委託している企業Xと進捗状況の確認
  • 12:00~13:00:出先でランチ
  • 13:00~14:00:【作業】後続のテスト工程に向けてテスト計画書を作成
  • 15:00~16:00:【作業】クライアント企業に提示する進捗報告資料を作成
  • 16:00~17:00:【内部打ち合わせ】来週、クライアント企業に提案するシステム開発案件の提案書を営業と確認
  • 17:00~18:00:【外部打ち合わせ】製造工程で重大な問題が発生したため、企業Xと緊急会議

繰り返しになりますが、SIerでは実装工程を外注することがほとんどなので、SIerのエンジニアはプログラミングをしません

なので、開発SEのメインタスクは顧客との打ち合わせや折衝、委託先企業のプロジェクト管理だったりします

もちろんシステム設計などのエンジニアっぽいタスクもありますが、物量的には顧客対応やプロジェクト管理が多いのではないかと思います。

大手SIerの仕事内容(保守運用SE編)

最後に保守運用SEの仕事内容について説明します。

システムを開発したら、その後はそのシステムが止まったりトラブったりしないよう、面倒を見る必要があるのですが、それを担当するのが保守運用SEです。

開発SEがシステムを作り、その後に保守運用SEがシステムのお守りをするという感じですね。

保守運用SEの仕事はおおむね以下のとおりです。

  1. 問い合わせ対応:システム利用者からの問い合わせ(○○の仕方がわからない、うまく動かないなど)に対応する
  2. システム監視:ちゃんとシステムが動いているか、定期的にチェックする
  3. トラブル対応:万が一、システムが止まってしまったりトラブってしまったら、原因を取り除いて復旧する
  4. システム改修:バグが見つかったら直したり、軽微な機能追加などを行う

他にも細々と色んなタスクがありますが、ざっくり書くとこんな感じです。

また、大手企業がクライアントだと、客先に常駐することが多いのも特徴的です。システム利用者であるクライアント企業から物理的に距離が離れていると、色々とやりにくいですからね。

保守運用SEのよくある1日ということで、具体例を以下に書きます。

<保守運用SEの1日>※客先に常駐している前提

  • 10:00~12:00:【内部打ち合わせ】昨日発覚したバグの直し方についてディスカッション
  • 12:00~13:00:ランチ
  • 13:00~14:00:【内部打ち合わせ】システム監視結果の定例報告会
  • 15:00~16:00:【作業】先週、改修要望のあったアプリケーションの設計書を加筆・修正
  • 16:00~17:00:【内部打ち合わせ】改修アプリケーションの設計書をみんなでチェック
  • 17:00~18:00:【緊急作業】システムトラブルが発生したため、緊急のシステム復旧作業
  • 18:00~19:00:【外部打ち合わせ】自社に戻り、上司と定期面談

客先常駐だと色々と気が張って大変ですし、さらにシステムがトラブったりした場合はさらに大変なので、こちらも営業や開発SEと同じで、かなり泥臭い仕事です

最後に

「SIerってシステム開発の会社でしょ?じゃあ、ハンモックに寝っ転がりながらMacbook Proでプログラミングやってたりするの?」

こういった勘違いをしている人がたまにいるのですが、残念ながらSIerではこんなカッコいいことはやっていません。

ひたすら打ち合わせ、ひたすら提案書やら設計書やらの書類作成の日々です。

もしかしたら、この記事を見て「イメージと全然違った…!」「えー、こんな仕事ならSIerに就職するの、やめようかな…」という人もいるかもしれませんね。

まぁ、入社してから「こんなはずじゃなかった…!!」となるよりかはいいと思うので、前向きにいきましょう!!

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