ITベンチャーなどのいわゆるWeb系と呼ばれる企業に勤めているエンジニアのイメージといえば、
- Tシャツにジーパンというめちゃくちゃラフな格好で
- 超でっかいクッションに身をうずめつつ
- かなりゴツめのヘッドフォンで音楽を聴きながら
- Macbook Proでプログラミングしている
みたいなイメージかと思います。
後半3つはさておき、最初の「Tシャツにジーパンというめちゃくちゃラフな格好」をしているのは、服装の規定、いわゆるドレスコードがないからです。
それゆえ、みんな自由な服装で勤務しているわけですね。
一方、IT企業の大手、特に僕が勤めていた某大手SIerでは、ドレスコードがきっちり決まっており、基本的にはスーツ着用が必須でした。
「このご時世にスーツですか…?」という感じですが、残念ながらスーツ必須のSIerがほとんどだと思います。
本記事では、某大手SIerに約12年勤務していた僕が、SIerの服装事情とスーツ着用必須の理由について解説します。
「SIerに就職しようと思ってるけど、やっぱりスーツを着ないといけないの?」
「SIerはスーツ必須っぽいけど、実際、みんなスーツ着てるもんなの?」
という就活生の参考になれば幸いです。
目次
SIerのドレスコードは「スーツ着用」が基本
冒頭にも記述したとおり、SIerでは基本的にスーツ着用のところがほとんどではないかと思います。
僕は某大手SIerに勤務していましたが、当然のようにスーツ着用必須でしたし、他社のSIerエンジニアでTシャツ、ジーパンを着ている人など見たことないです。
とは言え、実は2011年以降、僕の勤めていたSIerでは少しドレスコードが変わり、夏の間だけはポロシャツ・チノパンOKになりました。いわゆる「スーパークールビズ」というやつですね。
具体的にはこんな感じです。
- 春、秋、冬:スーツ、ワイシャツ、革靴が必須
- 夏:上記のほか、状況が許せばポロシャツ、チノパン、スニーカーでも可
なぜ、「2011年」なのかと言いますと、東日本大震災の影響です。
2011年3月の東日本大震災の発生直後、関東地方では電力不足が大きな問題となり、徹底的な節電が呼びかけられました。
エアコンなんかは電力食いの筆頭なわけで、当然のように徹底した節電が行われたわけですが、そんな中、スーツにネクタイなどの暑苦しい格好して無駄に体感温度を上げるのは完全に意味不明なので「さすがにもうちょっと涼しい格好しようぜ…!」ということになり、上記のようなドレスコードに改訂されました。
東日本大震災以降、国家公務員ですら夏場はポロシャツ・チノパンOKになったので、IT業界に関わらず、おそらく関東地方の企業はどこもかしこも夏場は「スーパークールビズ」になっているのではないかと思います。
SIerが「スーツ着用必須」な理由
そんなわけで、夏以外はスーツ着用必須なわけですが、それには理由があります。
おおむね以下のとおりです。
- 理由1:「カジュアルな服装でクライアント企業を訪問するのは失礼」という文化が根強いから
- 理由2:ドレスコードは全社一律で決められることが多いから
順番に説明していきます。
理由1:「カジュアルな服装でクライアント企業を訪問するのは失礼」という文化が根強いから
ものすごく日本的な理由なのですが、ゴリゴリの日系企業や団体なんかでは未だに
「ノーネクタイで訪問するのは相手に失礼」
「カジュアルな服装など言語道断」
という考え方が根強く残っています。
クライアント企業側がそういった価値観の場合、我々もスーツ、ネクタイを着用した上で訪問しないと「なんと失礼な会社ザマスか!!!!!」と言われるわけです。
実際、急遽クライアント企業を訪問することになり、あいにくネクタイを持ち合わせておらず、しかたなくスーツにノーネクタイという格好で訪問したら、クライアントに言われましたもんね。
「あらぁ、御社はずいぶんとカジュアルな格好なのねぇ!」
と。
「このご時世にこんなやつおらんやろwww」とにわかには信じられないかもしれませんが、実際にあるんです、こういう会社。
また、我々がシステム開発の一部を発注している会社(つまり我々がクライアント)に、彼らのバンコクの拠点を案内してもらった際、相手の担当者、スーツにネクタイでしたからね。
ジャケットなし、半袖シャツの僕でさえ汗だくなのに…!
さすがに「見てるこっちが辛いんで、ネクタイ外してジャケットも脱いでください…」とお願いしましたが…。
理由2:ドレスコードは全社一律で決められることが多いから
いまだにこういった礼節みたいなものを大切にするクライアントがいる一方、「スーツとか意味不明www」みたいなクライアントも増えてきています。
カジュアルな格好のクライアントを訪問する場合、先方はラフな格好なのに我々だけスーツにネクタイだとアンバランスになるので、そういう場合はノーネクタイだったりビジネスカジュアルな格好で訪問します。
つまり、SIerエンジニアの服装はどうなるかと言いますと、こんな感じになるわけです。
- クライアントAの担当部署:スーツ、ネクタイ
- クライアントBの担当部署:スーツ、ノーネクタイ
- クライアントCの担当部署:ビジネスカジュアル(スーツ不要)
そうです、部署ごとに服装が異なるわけです。
こういう条件下で最も適切にドレスコードを規定しようとすると、部署ごとにドレスコードを規定することになるわけですが、こういう規定の仕方をしてしまうと、部署の増減があるたびにドレスコードを規定し直す羽目になり、めちゃくちゃ面倒くさいんです。
特に大手のSIerなんかだと、クライアントがめちゃくちゃ多いので部署もめちゃくちゃ多いですし。
なので、
最も服装要件が厳しいところを基準にして全社一律のドレスコードを規定する
という選択が現実解となり、結果的に、本来ビジネスカジュアルでOKな部署もスーツ着用が必須になってしまうというわけです。
これらがSIerにおける「スーツ着用必須」な理由です。
最後に
というわけで、基本的にはスーツ必須のドレスコードなので、みんな律儀にスーツを着て勤務しています。
とは言え、「いやいや、僕たち研究開発の部署だし、クライアント先に行くこととかほぼないんですけど?」みたいな人たちは、ドレスコードを逸脱してビジネスカジュアルで勤務していたりしますけどね。
ドレスコードの逸脱を黙認してくれるかどうかは会社や部門によって異なるので、一概には言えませんが…。
少なからず「俺は絶対スーツなど着たくない!!!!」みたいな人は、SIerに就職するのは辞めた方がいいですね。
おとなしくドレスコードのないITベンチャーに就職するのが無難です…!