v6プラスでIP電話(SMARTalk)の固定電話化に成功した話【Grandstream HT-801使用】

移動体通信、いわゆる携帯電話がこれでもかと普及しまくっている昨今、「自宅に固定電話とかいらんやろw」「いまどき固定電話引いてるとか情弱すぎwww」という感じですが、僕はとある理由で自宅に固定電話を引いています。

むかしはNTT東西が提供する「ひかり電話」を使っていたのですが、基本料金の500円(2020年1月現在)をちょっとでも節約できないかなと思い、基本料金が無料のIP電話(050から始まる電話番号)を固定電話として使えないか調べてみることにしました。

結果として、楽天モバイルが提供する「SMARTalk(旧FUSION IP-Phone SMART)」を固定電話として安定的に使うことができたので、本記事ではその詳細な方法について解説します。

スマホ隆盛のこのご時世でも固定電話はあった方がベター

「家に固定電話欲しいなら、固定電話代わりに携帯をもう1回線契約して家に置いとけばええだけやんwww」という声が聞こえてきそうですが、まぁぶっちゃけ機能的にはそれで事足ります。反論の余地なしです。

でもですね、災害があったときなんかを想像すると、どうしても携帯電話以外の通話手段が欲しいんですよね

2011年3月の東日本大震災発生直後、携帯電話はかなり長い時間、電話が繋がりにくくなったと記憶しています。

そんなとき、意外にピンピンしていたのが自宅のインターネット(固定回線)でした。

同様に、当時契約していたひかり電話もピンピンしており、ひかり電話で普通に電話をすることができたのを今でも強烈に覚えています。

確かに、機能的には携帯電話をもう1回線契約すれば事足りるのですが、もしものときのことを考えると、携帯電話網を通らない通話手段があると安心だなと思うわけです

これが、僕が自宅に固定電話を引いている理由です。

ひかり電話などの固定電話サービスは基本料金がかかるのがネック

自宅に固定電話を引くとなると、すぐに思い浮かぶのはNTT東西が提供する「ひかり電話」やKDDIが提供する「auひかり 電話サービス」などの光回線のオプションサービスだと思います。

これらのサービスのメリットは「難しい設定が不要で、誰でも導入可能」という点ですが、一方で「使っても使わなくても、基本料金が毎月500円ぐらいかかる」というデメリットがあります

固定電話を引くのは「もしものときの通話手段の確保」が目的であり、普段は待ち受け専用なので、できれば基本料金がかからないほうがいいですよね。

「たかだか500円ぐらい払えばええやんw」という声が聞こえてきそうですが、たかが500円、されど500円です。

僕はいままで「ひかり電話」を使っていたのですが、毎月の料金明細を見ていたら「もうちょっと安く運用できる電話サービスないかなぁ…」と思い始めたわけです。

IP電話サービスは基本料金が掛からないというメリットがある

ひかり電話の代替といえば、これまたすぐに思い浮かぶのは050から始めるIP電話サービスです。

代表的なIP電話サービスは以下のとおりです(2020年1月現在)。

  • 050 plus(NTTコミュニケーションズ):基本料金300円/月
  • SMARTalk(楽天モバイル):基本料金無料
  • My 050(ブラステル):基本料金無料

NTTコミュニケーションズが提供する「050 plus」は基本料金がかかってしまいますが、残りの「SMARTalk」と「My 050」はなんと基本料金が無料です。

「これはスバラシイ!」とばかりに、早速「SMARTalk」と「My 050」が実際に使い物になるかどうか、試してみました。

スマホでIP電話を使うとトラブルが発生しやすいというデメリットがある

「SMARTalk」と「My 050」は両方とも通話用の公式スマホアプリが出ているので、

Androidスマホ(SIMなし、WiFiのみ)+公式スマホアプリ

という構成でしばらく運用してみた。

ところが……!

「SMARTalk」も「My 050」もめちゃくちゃ不安定でした

具体的には「着信しないときがある」という、電話として致命的な事象が多発しました。アカンやん。

少し原因を探ってみたところ、どうやら原因は以下のようです。

  • 原因1:ネット環境がv6プラスと特殊な環境(※白に近いグレー)
  • 原因2:スマホがファーウェイ製(※完全にクロ)

原因1:ネット環境がv6プラスと特殊な環境(※白に近いグレー)

我が家のネット環境は通常のIPv4(PPPoE接続)ではなく、v6プラスという接続方式です。

v6プラスの注意点としてどのプロバイダでも必ず書かれているのが、「IP電話(050)サービスはご利用いただけません」という文言。

v6プラスでは、v4のグローバルアドレスを他の人と共用するので、その関係でIP電話の接続性は担保されませんよ、という意味だと思うのですが、僕が試した「SMARTalk」や「My 050」はまさにIP電話サービスなので、v6プラスが原因なのかなと。

しかし、「SMARTalk」も「My 050」もv6プラスで問題なく使えるという情報もあるので、これはクロというよりかはグレー気味かなと思っています。

原因2:スマホがファーウェイ製(※完全にクロ)

今回使ったのはファーウェイの「P9 lite」という機種だったのですが、ファーウェイのスマホって独自の省電力機能を作り込んでいるらしく、スリープに入るとプッシュ通知が届かなくなることがあるらしいんですよね

確かにスマホ操作時(つまりスリープ状態ではないとき)はちゃんと着信しましたが、スリープに入ってしばらく経つとパタッと着信しなくなったので、もう完全にこれが原因だなと思っています。

一応、該当のスマホアプリをバッテリー最適化対象から外す、みたいなワークアラウンドを試みたのですが、事象解決せず…!

その他、ネット情報を探しまくって色々と試してみたのですが、一向に解消しなかったので、「何かもうスマホで安定的に着信させようとするのがナンセンスなんじゃね?」という結論に至りました

そんな中、行き着いたのがVoIPアダプタです。

「Grandstream HT-801」等のVoIPアダプタを使えば安定的にIP電話を使える

「スマホを使うのは無理がありすぎる…。世の中の情強とか剛の者はどうやってるんだ?」と調べたところ、どうやら剛の者は

VoIPアダプタ+普通のアナログ電話機

という構成でIP電話を使っているという情報を入手しました。

VoIPアダプタとは、めちゃくちゃざっくり言うと「IP電話を普通のアナログ電話機で受けられるようにしてくれる特殊なハードウェア」です。

特に剛の者たちに人気なのはGrandstreamというメーカーのHandy Tone-801(HT-801)という機種で、コスパがいいともっぱらの評判です。

ただし、設定にはかなりのITスキル(というかネットワークスキル、IP電話プロトコルの知識)が必要なので、初心者は手出し無用とのことでしたが、一応、システムエンジニアでご飯を食べていたこともあり、何のためらいもなくポチッと購入、試してみることにしました。

「v6プラスだとIP電話サービスは使えない」と言われているが、SMARTalk+HT-801の組み合わせで普通に使えた

上述のとおり、一応、「v6プラスはIP電話サービスの利用は不可」とアナウンスされていますが、「SMARTalk」や「My 050」は問題なく使えるという情報があったので、物は試しということで、実際にやってみました。

試したのは以下の環境です。

  • ネット環境:v6プラス(フレッツ光コラボ)
  • v6プラスルータ:TP-Link Archer A2600、Synology RT2600ac(2020/7/6追記)
  • VoIPアダプタ:Grandstream HT-801
  • 電話機:パナソニック コードレス電話機

で、「SMARTalk」と「My 050」の両方を上記環境で試したところ、以下の結果となりました。

  • SMARTalk
    問題なく動作した!
  • My 050
    →動作しなかった…(SIPサーバとうまく繋がらなかった)

恥ずかしながら「My 050」はほとんどトラブルシューティングをやっていないので、原因は不明です。もしかしたらただの設定ミスとかかもしれません。

なにせ「SMARTalk」があまりにあっさりと動いてしまったので「じゃあ、SMARTalkでええか」となり、「My 050」は深追いしなかったんです。

とにもかくにも、我が家のv6プラス環境で「SMARTalk」を安定的に使えることがわかったので、ひかり電話の基本料金500円を浮かせることができました…!

【2020/7/6追記】

諸事情により、ルータをSynology RT2600acに換えたのですが、問題なくSMARTalkが動作しました。HT-801の設定は一切変えていません(後述の設定そのまま)。

なので、「高性能なルータがいい!」という方はSynology RT2600acを選ぶといいですね。

Synology RT2600ac Wi-Fi AC 2600 Gigabit router by Synology
Synology

参考までに我が家のHT-801の設定を公開します

ご参考までに、我が家のGrandstream Ht-801の設定を公開します。動作している環境は以下のとおりです(再掲)。

なお、HT-801のファームウェアは1.0.15.4です。

  • ネット環境:v6プラス(フレッツ光コラボ)
  • v6プラスルータ:TP-Link Archer A2600、Synology RT2600ac(2020/7/6追記)
  • VoIPアダプタ:Grandstream HT-801
  • 電話機:パナソニック コードレス電話機

なお、あくまでご参考という形での掲載ですので、動作保証はいたしかねます。ご了承ください…!

【2020/7/6追記】

上述のとおり、ルータはSynology RT2600acでもOKでした。

Synology RT2600ac Wi-Fi AC 2600 Gigabit router by Synology
Synology

「BASIC SETTINGS」の設定

「ADVANCED SETTINGS」の設定

「FXS PORT」の設定

最後に

VoIPアダプタを使って「SMARTalk」などのIP電話サービスを正しく動作させ続けるのはめちゃくちゃ難易度が高いかなと思っています。

運用中にトラブルが発生したら全部自分で対処しないといけないですし、それにはネットワークの知識やSIPプロトコルの知識なんかが必要です。

しかもGrandstreamのVoIPアダプタなんてかなりニッチな製品なので、ググればすぐに情報が出てくるという代物ではありません。

しかも、それをv6プラスで使うとなるとさらに難易度が上がるので、腕に自信のある方のみお試しいただくのがいいかなと思います…!

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