昨年12月に某IT企業から製造業界に転職したのですが、転職元の某IT企業には退職金制度がありまして、勤続年数が12年と割と長めだったので、いくらかの退職金をもらいました。
思いがけずまとまったお金が手に入ったことと、ちょうどここ2、3年で投資の勉強をしており、知識も経験も結構溜まってきたことに加えて、「退職金 運用 初心者」でググったら「ヘッジファンドがオススメです☆」みたいな記事が上位に出てきてゲンナリしたので、
- 僕のように転職でまとまった金額の退職金をゲットした
- 運用で増やしたいと思っているが、投資の知識がなくて何をやっていいかわからない
という方を対象に、投資初心者向けの退職金の運用方法を考えてみました。
参考になれば幸いです。
目次
まずは「難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください」を読んで基礎知識を身につけましょう

「投資って何?」
「株とか債権とかNISAとかよくわからん」
みたいな方は、まずは山崎元・大橋弘祐著の「難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!」を読むことを強くおすすめします。
投資をこれからはじめるにあたって知っておくべき基本的な情報が、非常にコミカルな対話形式で書かれているので、めちゃくちゃ読みやすいです。
また、具体的に運用すべき商品なんかにも言及されており、最初の1冊としては最適です。
実際、僕もこの本から投資の勉強を始めたのですが、投資という観点だけではなく、基本的な「お金」の話も書かれているので、マネーリテラシーの向上に繋がります。
投資をするしないに関わらず、読んでおいて損はないかと思います。
初心者におすすめの投資方法は?
上記の「難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!」を読むと、「なるほど、投資って必要やね」という感想を持つと思うのですが、実際に自分のお金を投資に回すとなると、二の足を踏んでしまう人もいると思うんですよね。
おおむね、以下のようなタイプに分類されるのかなと思います。
- タイプ1:超・安定志向タイプ
→「インフレリスクはあるかもしれんけど、元本割れはどうしてもイヤだ!」 - タイプ2:安全投資(丸投げタイプ)
→「リスク低めで安全に運用したい」「でも自分で運用商品選ぶとかメンドクサイ」 - タイプ3:安全投資(自力タイプ)
→「安全に運用したい」「そのためにも自分でしっかり投資商品を選んで運用したい」 - タイプ4:積極投資タイプ
→「インデックスファンドもいいけど、もうちょっとリターンの大きい投資もやりたい!」
まだまだ投資をはじめて2、3年の初心者の僕ですが、投資をするにあたって最も重要なのは
しっかり自分が納得した上で投資をする(運用する商品を選ぶ、運用する金額を決める)こと
だと思っています。
ここができていないと、仮に投資で損失を出してしまったときにめちゃくちゃ後悔します。そして「あー、投資なんてやるんじゃなかった!!」「だまされた!!」となるわけです。
これは非常に不幸なことですよね。
逆に、損失リスクを正しく理解し、しっかり納得してから投資をすると、仮に損失を出してしまっても「うーむ、しゃあない」と納得できますし、「よし、次いこ、次」と前向きに考えることができます。
「損失出しといて、納得などできるか!!」という安定志向の方も当然いらっしゃるでしょうし、「大きなリターンを得るためにはリスクもそれなりに覚悟せんとね、グヘヘ」みたいな、超イケイケな方もいらっしゃることでしょう。
色んな考え方の人がいるのはごく自然なことです。
大事なのは自分が上記のどのタイプに該当するのかをしっかりと見極め、それに合った投資方法を選ぶことです。
さて、ずいぶん前置きが長くなってしまいましたが、上記の各タイプごとにおすすめの投資方法・投資商品をご紹介します。
タイプ1)超・安定志向タイプ:定期預金

「投資で損をするのは絶対にイヤだ!!」
こういう方は、元本保証の商品一択です。
元本保証の金融商品といえば、やはり定期預金でしょう。
万が一、銀行が破綻しても預金保護の仕組みがありますので、元本が保証されます。
ただし、元本が保証されるのは1銀行あたり1,000万円までなので、1,000万円以上預けたい方は、複数の銀行に分散する必要があります。
また、保証されるのは普通預金や定期預金など諸々の合算で1,000万円だったり、1つの銀行に複数の口座を持っている場合はそれらの合算で1,000万円であるなど、細かい規定がありますので、詳細を知りたい方は以下のサイトをご参照ください。
ちなみに、定期預金には
- インフレリスクに弱い(インフレが起こると価値が目減りする)
- 元本保証される分、リターンがめちゃくちゃ小さい(年利0.02%など)
というデメリットがあるので、これをしっかり理解した上で選択するようにしましょう。
タイプ2)安全投資(丸投げタイプ):ロボアドバイザー

「元本保証よりはもうちょっとリターンが大きいほうがいい!!」
「かといって、自分で商品選んだり、ちょいちょい自分で作業したりするのは絶対にイヤ!!」
こういう方はロボアドバイザーがいいかと思います。
ロボアドバイザーというのは、ざっくり言いますと「お金を預ければ、あとは勝手にAIが運用商品を選んでよしなに運用してくれるサービス」です。
ロボアドバイザーで最も有名なのは「WealthNavi(ウェルスナビ)」ですね。
ウェルスナビだと、おおむね以下の流れで運用することになります。
- ウェルスナビの口座を開設する
- 開設後、運用プランを決める(6つの質問に答えるだけ)
- 入金する(最低金額は10万円)
- 見守る
ウェルスナビのいいところは、サイトが非常に分かりやすく、口座開設や運用開始までの流れなんかも迷うことなく理解することができます。
運用プランについても、6つの超簡単な質問(年齢や年収、資産運用目的など)に答えるだけで決まるので、もう本当に迷いどころがないです。
また、実際に運用する商品はETF(上場投資信託)という割と手堅い商品のみなので、投資リスクを低く抑えることができますし、ウェルスナビは利用者数がかなり多いので、わからないことがでてきてもググれば情報が出てきやすいというのもメリットですね。
さて、そんないいことだらけのウェルスナビですが、当然のことながらデメリットもあります。
それは
手数料がちょっと高い(預かり資産の1% ※年率)
です。
たとえば、100万円で運用していたら、年間で約1万円の手数料が掛かります。
つまり、100万円を年利1%で運用できたとしても、ざっくりその1%分は手数料として徴収されるので、ほぼトントンになってしまいます。
とは言え、ウェルスナビが公開している約4年間の運用実績を見ると、リスク許容度1(≒ローリスク・ローリターンの運用プラン)でも約13%のリターンであり、年利にすると大体3%なので、手数料1%を取られたとしてもちゃんとプラスになりそうです。
出典:WealthNaviの運用実績|ロボアドバイザーならWealthNavi(ウェルスナビ)
「えー、でも3%の儲けから1%も手数料取られるのって、さすがに高すぎじゃない?」
こんな風に思う方もいらっしゃることでしょう。わかります、その気持ち。
でも、たとえ1%取られたとしても、やはり投資初心者の入門編として、ウェルスナビは最適なんじゃないかなと思います。
最初は投資の勉強と捉えて、まずはウェルスナビで運用をはじめてみる。しばらくして「あ、やっぱ手数料高いわ」となったら、解約して違う運用方法に切り替えればいいだけですしね。
タイプ3)安全投資(自力タイプ):NISA+インデックスファンド

「元本保証よりはもうちょっとリターンが大きいほうがいい!!」
「かといって、AIに運用を任せるのは手数料も取られるしちょっとな…。自分で運用商品をしっかり選びたい!」
こういった方は、上記の「難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!」でもおすすめされているとおり、NISA枠でインデックスファンドを買うのがいいんじゃないかと思います。
「インデックスファンドって何?どうやって買うの?」「なんでインデックスファンドがいいの?」「NISAって何だ!?」というあたりは書籍でしっかり解説されていますので、書籍をご参照ください。
なお、書籍内ではつみたてNISAの解説がない(書籍発売当時、まだ制度がなかった)のですが、まとまった金額が手元にあるのであれば、投資枠が大きい通常のNISAが有利かなと思います。
また、書籍内ではiDeCoの活用もおすすめされているのですが、個人的にはまずはNISAだけで運用してみるのがいいと思っています。
なぜなら、iDeCoって基本的に途中解約できないんですよね。
「やっぱやめたい!!」となっても、60歳になるまで引き出せません。
なので、NISA枠でしっかり運用してみて、「よっしゃ、追加でiDeCoもやるぞ!!」となってから、iDeCoをはじめることをおすすめします。
タイプ4)積極投資タイプ:多種多様(ビットコインなど)

「リターンが低いのはつまらん!リスクとってもいいから、もっと大きなリターンが見込める運用をしたい!!」
投資初心者で、たまにこういう考えの方がいるのですが、個人的には、まずはロボアドバイザーやインデックスファンドあたりで投資経験を積んでからの方がいいんじゃないかなと思います。
「ハイリスク・ハイリターンでガンガン行くぜーー!!」と息巻いていた人でも、いざ大きく資金を減らしてしまうと、「こ、こんなはずじゃなかった…」とめちゃくちゃ後悔する人がほとんどなんですよね。
で、「なんだよ!!投資なんて全然儲かんないじゃないか!!」と言って、投資を辞めてしまうと…。
まぁ、ハイリスク・ハイリターンなんだから、失敗したら資金を大きく減らしてしまうのは当然なのですが、やはり頭では理解しているつもりでも、それが現実になってしまうとパニックになったり、激しく後悔するものです。
「まずは低リスクな運用方法で投資経験を積むべき」という真意は、「まずは少額で投資してみて、実際に資金が減る経験をすべき」ということだったりするんですよね。
投資は大なり小なり元本割れのリスクがありますから。
どうしても「そんなのやってられん!最初からハイリスク・ハイリターンでやるんだ!」というのであれば、資金のごく一部ではじめてみることをおすすめします。
で、実際にハイリスク・ハイリターンの運方法法はどういうものがあるかといいますと、代表的なのはビットコインなどの暗号通貨かなと思います。
「億り人」という言葉が登場したように、暗号通貨はボラティリティ(値動き)がめちゃくちゃ高いので、場合によっては大きく資産を増やすことができますが、もちろん一瞬にして価値がゼロにある可能性もあります。
このあたりは多種多様なやり方がありますので、投資に慣れてきたら自分で調べるのがいいと思います。
かくいう僕はといえば、最初は個別株やFXの裁量トレードなんかをやっていたんですが、年がら年中「株価チャートや為替チャートが気になって気になってしょうがない…!」という状態になってしまい、仕事に支障が出てしまったので辞めてしまいました。
それに「これから株価が上がるとか下がるとか、そんな予想、僕にはできないな…」と諦めたのも理由の1つです。
今は、FXの自動売買サービスである「トラリピ」を使って、ミドルリスク・ミドルリターンぐらいの設定で運用しています。
転職で得た退職金のほとんどをトラリピに突っ込んで運用しているのですが、この記事を執筆している2020年4月現在、新型コロナウイルスによる為替レートの不安定さも相まって、月利4%ぐらいになってます。
960万円が1ヶ月で40万円増えて、1,000万円になった感じです。
これはかなりイレギュラーパターンなんですけどね…。
「トラリピ?なにそれ、気になる!!」という方は以下の記事をご参照ください。
ちなみに、トラリピは「ほったらかし投資」としてサラリーマン投資家の間で大人気なので、ググればかなりの情報が得られます。ぜひご自分でも調べてみてください。
最後に
記事の冒頭でヘッジファンドについて少し触れました。
ヘッジファンドというのは死ぬほどお金を持っている人がやるものという理解でして、一般的な年収のサラリーマンが「よっしゃ、退職金もらったから全部ヘッジファンドに突っ込も!」みたいなノリでやるものではないです。
まずはロボアドバイザーなりインデックスファンドなり、少額で始められて、かつ、途中で辞めやすいものからはじめるべきかなと思います。
以上です。ご参考になれば幸いです!